悠哉もですか!?-1

10/14
972人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「失礼します。軍二さん、悠ちゃんたちがいらっしゃいましたよ」 女将さんが、襖の向こうに声をかける。 「ああ、そうか。入ってくれ」 その返事に、そっと襖を引いた。 そして、靴を脱いだ悠哉と私を中へと誘導していく。 その部屋は12畳くらいの広さがあり、もちろん生け花や掛け軸やらが飾られている。 高級感は変わらずだけど、和な雰囲気がどこか自分を和ませた。 会長の手前側に悠哉が座り、私もその隣に並んで座る。 「只今、悠ちゃんたちのお飲み物を持って参りますので。どうぞごゆっくり」 ニコッと微笑みながらそう告げて、女将さんが部屋を後にした。 まず声をかけたのは悠哉。 「待たせてしまいましたか?」 「いや、そんなことはないよ。ここへ来る前に友人と会ってたんだ。久しぶりに会った友人で、長話になってしまってね。その後ここまで送ってもらったんだよ」 「そうでしたか。俺はてっきり、時間を間違えてしまったかと…」 悠哉の話を聞きながら、会長がクスッと笑うのがわかった。 「悠哉」 「はい?」 「ここは会社じゃない。敬語はやめなさい。普段のお前で話してくれて構わないよ」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!