その始まりは、私の背後から-1

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私はすぐに身体を仰け反ろうとした。 けれど、私に手を回したままの悠哉は、耳元で呟いてくる。 「そろそろ俺に、集中しようか?」 「……へ?」 顔を上げてみると、悠哉の真っ直ぐな瞳が目の前に。 胸がドキッと大きい音をたてた。 「俺以外の何に、そんな心奪われてるんだ?」 ……あ。 バレバレでしたか? 顔に、出てたってことだよね? 「せっかく早く帰ってこれたんだが…」 「ご、ごめんなさい!…ちょっと、考えごとしてて…」 「何をそんなに考えてるんだ?」 悠哉の瞳が、心の中を読み取ろうと私の瞳を覗き込んでくる。 その様子を見て、今、ひとつ気がついた。 よく、私の気持ちがそっくりそのまま顔に出てるって悠哉は言うけれど、それはつまり、私のことをそれだけ見てくれてるってことなんじゃないだろうか? どんなに表情が気持ちを語っていたとしても、気づかない人は気づかないでしょ? その悠哉の仕草に、さっきまで上の空だった自分がいたことを反省した。 そうだよね。 なかなか平日はこんなゆっくりな時間があるわけじゃないのに。 私は何をしているの?
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