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私はすぐに身体を仰け反ろうとした。
けれど、私に手を回したままの悠哉は、耳元で呟いてくる。
「そろそろ俺に、集中しようか?」
「……へ?」
顔を上げてみると、悠哉の真っ直ぐな瞳が目の前に。
胸がドキッと大きい音をたてた。
「俺以外の何に、そんな心奪われてるんだ?」
……あ。
バレバレでしたか?
顔に、出てたってことだよね?
「せっかく早く帰ってこれたんだが…」
「ご、ごめんなさい!…ちょっと、考えごとしてて…」
「何をそんなに考えてるんだ?」
悠哉の瞳が、心の中を読み取ろうと私の瞳を覗き込んでくる。
その様子を見て、今、ひとつ気がついた。
よく、私の気持ちがそっくりそのまま顔に出てるって悠哉は言うけれど、それはつまり、私のことをそれだけ見てくれてるってことなんじゃないだろうか?
どんなに表情が気持ちを語っていたとしても、気づかない人は気づかないでしょ?
その悠哉の仕草に、さっきまで上の空だった自分がいたことを反省した。
そうだよね。
なかなか平日はこんなゆっくりな時間があるわけじゃないのに。
私は何をしているの?
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