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…うそ。
そんなときがあったの?
会長の瞳は、騒ぎあっている3人のなかの悠哉へ注がれながらも、どこか遠くを見つめはじめる。
「なんとかその生活を止めたかったんだが、結局…、私ではどうにもできなかった」
…え!?
会長でも?
じゃあ、誰が止めたの?
そんな生活をずっと続けていたら、今の悠哉はいないんじゃ…?
会長になんて言葉をかけていいかわからず、私はただ見つめていた。
「そんなとき、悠哉の実の父親がいきなり亡くなったんだよ」
あっ………。
その重い言葉に、すぐに胸がギュウッて苦しくなっていく。
「悠哉から聞いているかどうかはわからないが、実の父親もかなり荒れた生活を送っていてね。そんな彼を見て、その死を見つめて、悠哉なりに何かを感じたのかもしれない」
…ああ。
そっか。
そうだったんだ。
…そうだったんだね。
会長の話を聞いて、悠哉の過去が私の中で一直線に並んだような気がした。
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