919人が本棚に入れています
本棚に追加
そう言いながら、悪びれる様子もなくアハハハハと笑う黒田さん。
…と、その後ろにもう一人?
「…それで、片桐はどうしたんだ?」
会長の声に、困った表情で額に手を当てながら、あちゃ~と今にも呟きそうな様子で立っている。
「…申し訳ありません」
そう言って、一礼した。
「私は先程まで会社の方で仕事をしていたのですが、マネージャーに会ったらいきなり引っ張られ…。まさか会長たちの席にお邪魔してしまうとは…」
専務が話していると、今度は女将さんが飲み物を手にやってきた。
「あらあら、健ちゃんに誠ちゃんまで…。皆さんそろってどうしたの?」
え、ええ!?
女将さんの口から出た呼び掛けに、私はすぐに反応してしまった。
健ちゃん!?
…いやいや、まだ黒田さんをそう呼ぶのはわかるような気がする。
でも、専務までちゃん付ですか!?
あなたはいったい何者なんですか!?
…女将、恐るべし。
「女将、すまないが、黒田と片桐の分もお願いしていいかな?」
「はい、もちろんですよ」
そのやり取りにすぐ止めに入ったのは専務。
「いえ、会長、私はこのまま失礼しますので」
最初のコメントを投稿しよう!