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その問いにう~んと考えながら、次の言葉を待った。
「私の正面に立った悠哉がね、いきなり『軍二、おかえり』って大きな声で呼びかけてきてんだ」
「え!?」
軍二って…、呼び捨てですか!?
「それまではパパと呼ばれていたんだが…、いや~さすがに驚いたよ。お父さんと呼ばれることなく、その日を境に悠哉のなかでは軍二になってしまったみたいでね」
そ、そうだったんだぁ…。
「…どうしていきなり名前で呼ぶようになっちゃったんでしょうね?」
私が不思議に思っていると、会長がフムフムと頷く。
「そう思うだろう?私はてっきり、学校の友達のなかに親を名前で呼ぶ子でもいるのかなと思ったんだが、どうやら原因はあいつにあったようでね…」
会長が視線を送った先は、…黒田さん?
女将さんになだめられて大人しくなったかと思いきや、なにやらまたもめているらしく、悠哉と黒田さんがじゃれあっていた。
その間にいる専務は、無言で2人の様子を見届けている。
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