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悠哉、その返事はいったい…?
「どうもおかしいと思い、悠哉の様子をうかがってたいたんだが…。その原因もまた同じところにあったらしくてね。バイオリンよりもギターの方がかっこいいみたいなことを、どうやら黒田が吹き込んだらしい」
その話に、思わずクスクス笑ってしまった。
つまり、それだけ本当に2人は仲がよかったってことなんだもんね。
今、ああやって言い合えるのも、そんな時間があったからなんだろうなぁ。
「そんな2人だったんだが、黒田が大学生になるとき、一人暮らしをするために家を出てね。…そのとき初めて、悠哉にとって黒田の存在がどれほど大きなものだったのかを知ったんだ」
「…何か、あったんですか?」
その問いかけに、一度コクンと頷いた。
「黒田がいなくなると、悠哉はかなりの荒れた生活を始めてね」
「…荒れた生活?」
「思春期ともいえばいいのかな。黒田のいない中学生のころ、感情が入り乱れることがとても激しかった。それまで当たり前に親子の会話ができていたはずなのに…。全く会話がなくなり、したかと思えば反発の言葉ばかり。学校でも喧嘩やら殴りあいが絶えなくてね」
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