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「ん?」
「おかげで、スッキリしました」
そう言ってニコッと微笑んだ。
悠哉が気づいてくれなかったら、話を聞いてくれなかったら、きっとしばらくは心をモヤモヤさせたままだったと思う。
気づいてくれて、聞いてくれて、ありがとう。
そう伝えようと、続けて口を開けた。
でも、目の前にる悠哉は間をあけることなく、ニヤリと笑ってくる。
「…なら、もういいかな?」
え?
何がもういいのか、とっさに頭を働かせた。
でも、悠哉はその言葉の後にも間をあけることはなかった。
顔が近づいたかと思えば、すぐに唇が重なる。
そして手が回ると、私の身体をまたも引き寄せた。
わ、わあぁぁぁ!
だから、まずいんだって!
そんなに触れないで。
身体をくっつけないで。
なんとかお風呂から上がらなくては!
唇が離れた瞬間、私はすぐに悠哉の顔を両手で包んだ。
「あ、あの!」
「…何だ?」
悠哉の強い眼差しが、私に注がれる。
「お風呂から、そろそろ上がりましょう」
「…のぼせるから?」
「あ、それもあります」
悠哉が首を傾げた。
「…他にも理由があるのか?」
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