君しかいない-1

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もし今連絡したら、…本当に、泉社長の言ったように、悠哉に選択させてしまうことにならない? そう思った瞬間、ケータイを見つめながら、固まってしまった。 どうしたらいいのか、わからない。 少しずつ、呼吸が荒くなっていくような感覚に陥っていく。 涙が、止まらない。 「…うっ…、っ…」 …もう、ホント弱いんだからっ。 泣くなってば。 ちゃんと、考えて。 悠哉なら…。 悠哉なら…。 電話したとしたら、何て言う? 電話しなかったとしたら、何て言う? 手の甲で涙を拭い、呼吸を整える。 再びケータイを見つめ、ギュッと握りしめた。 決意した私は、悠哉の番号へ電話をかけた。 悠哉なら、…電話しなかったら絶対怒るはず。 なんで連絡しなかったんだって、絶対に言ってくるはず。 そして、ケータイを耳にあてた。 私の耳元では、コール音と共に自分の心臓の音までもが聞こえていた。 しばらく、その音が続く。 お願い、出て! 何度も何度も、胸の中でそう呟いていた。 けれど、いくら待てども、悠哉が電話に出ることはなかった。
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