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電話を切り、フゥと息を吐く。
…ダメだ。
そして顔を下げた。
…きっと、忙しいのかもしれない。
電話に気づかなかったのかもしれない。
…どうする?
…私、どうしたらいい?
いくら考えても私の頭では何も思いつくことがなく、頭を左右に振りながら顔を上げた。
さらに溢れてくる涙を拭いながら、ケータイをいじり、あてもなく電話帳をたどっていく。
…どうする?
ホントどうしたらいいの!?
緊張のあまり、何が正しい判断なのか、冷静に見出だせない。
ただ、ずっと電話帳を探っていた。
そんなとき、1人の名前をかすめたところで、ハッとする。
専務!
たしか、専務も今日ここに来てる!
連絡つくかもしれない。
すぐに電話をかけようとした。
けれど。
さらに迷いが生じる。
専務にまで迷惑かけて、大丈夫?
そんな思いでいると、再び足音が。
慌ててケータイを閉じ、すぐに息を止めた。
…もう、やだよ…。
早くあっちに行って。
祈るような思いで、身を縮める。
そして足音が聞こえなくなった時点で、再び決意した。
こんなときに、迷ってなんかいられない。
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