君しかいない-2

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電話を切り、フゥと息を吐く。 …ダメだ。 そして顔を下げた。 …きっと、忙しいのかもしれない。 電話に気づかなかったのかもしれない。 …どうする? …私、どうしたらいい? いくら考えても私の頭では何も思いつくことがなく、頭を左右に振りながら顔を上げた。 さらに溢れてくる涙を拭いながら、ケータイをいじり、あてもなく電話帳をたどっていく。 …どうする? ホントどうしたらいいの!? 緊張のあまり、何が正しい判断なのか、冷静に見出だせない。 ただ、ずっと電話帳を探っていた。 そんなとき、1人の名前をかすめたところで、ハッとする。 専務! たしか、専務も今日ここに来てる! 連絡つくかもしれない。 すぐに電話をかけようとした。 けれど。 さらに迷いが生じる。 専務にまで迷惑かけて、大丈夫? そんな思いでいると、再び足音が。 慌ててケータイを閉じ、すぐに息を止めた。 …もう、やだよ…。 早くあっちに行って。 祈るような思いで、身を縮める。 そして足音が聞こえなくなった時点で、再び決意した。 こんなときに、迷ってなんかいられない。
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