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気持ちを、言葉に。
「愛してる」
そう伝えた瞬間、なるの顔が真っ赤になっていった。
そして目を泳がせる。
そのいつもの仕草に、俺はクスッと笑った。
握っていた手を離し、次は頬を包み込んでみる。
顔を近づけ、もう一度言葉にした。
「…愛してる」
二度目の言葉に、なるは俺の瞳を真っ直ぐ見つめてくる。
しばらく見つめ合っていると、瞳が潤んでいくのがわかった。
「…私もです」
そう言って、俺の胸の中へ。
俺は小さい背中に、手を回した。
そして、頭の中で思い付くだけの言葉を浮かばせていた。
なるの、喜びそうな言葉を。
次に何て言葉をかけたら、お前は俺に微笑んでくれるだろうか?
…「ずっとそばにいる」?
…「これからもよろしく」?
…それとも、もう一度「愛してる」?
色々と考えては、首を振っていた。
まいったな。
もっとなるを笑顔にしたいんだが…。
思い付く言葉は、ありふれたものばかりのような気がしてならない。
きっとどんな言葉でも、なるは喜んでくれるだろう。
それはわかってる。
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