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それを聞いて、私は身体をそのままに、顔だけを悠哉へ向けた。
目が合うと、優しく頷いてくる。
「片桐からは何の連絡もきてなかった。それはつまり、無事に終えたということだ。お前が気にする必要はないよ」
それを聞きながら私もコクンと頷き、先に視線を外した。
再び背もたれを見つめながら、ホッと一息。
…そっかぁ。よかった。
…ん~…、でも…。
そして続ける。
「…それならいいんですけど……。あの、会長は、どう思われたでしょうね?」
大きく引っ掛かっていた疑問をぶつけてみる。
悠哉は、再び私の耳元へ。
「それも大丈夫。きっと、片桐がうまく話しているはずだ」
その言葉に、私は目をキュッとつぶった。
そうだといいんだけど…。
残る不安を胸にしたままおとなしくしていると、悠哉の身体が私の身体へ、優しく重なってくる。
そのぬくもりに、身を寄せてしまおうとした。
…が、次の瞬間。
悠哉が私から身体を、ガバッと思いっきり引き離していった。
…ん!?
何!?
不思議に思い、目を開けて視線を悠哉へ。
するとそこには、瞳を大きくして片眉をあげ、戸惑っているような表情が。
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