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だが、もっとこう…、ダイレクトに伝わるような何か、そういうものはないだろうか…?
ムムムッと頭を悩ませていると、なるが俺を見上げていた。
…あ、まずいな。
今、難しい顔になっていなかったか?
ううんっと一度咳払いし、再びなるの頬を包み込んだ。
そして顔を近づけ、正直に尋ねてみる。
「なる」
「…はい」
「もっとお前の笑顔を見るには、次に、何て言葉をかけたらいい?」
「…え?」
なるの目が見開いた。
さらに正直に、話を進める。
「考えてた。さっきから…。お前に与えてしまった不安を、一気に解消してしまうような言葉はないだろうかって」
そう伝えると、なるがパチパチッと瞬きする。
「今、お前は俺に、なんて言葉をかけられたい?」
尋ねると、なるは視線をゆっくり右へと運ぶ。
しばらく沈黙に。
…本人に聞いても仕方なかったか?
そう思い、なるの頭をポンポンした。
「いや、そんな真剣に考える必要はないからな?」
そう言ってなるの顔を覗いた。
すると、ゆっくり俺に視線を戻してくる。
何やら唇を噛み締め、真っ直ぐな瞳で見上げてきた。
…ん?
なんだ?
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