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その表情はもしかして…。
「俺に、言ってほしい言葉がある…?」
首を軽く傾げ、そう聞いてみる。
するとすぐに頬を赤くさせ、コクンと頷いた。
その様子に、俺の胸が徐々に高鳴っていく。
それはいったい、どんな言葉なのか。
「なる、教えてくれ」
尋ねると、なぜか再び視線を外していった。
そして、恥ずかしそうにモジモジし始める。
俺はさらに顔を近づけた。
「…俺に伝えられないか?」
するとなるは、パッと視線を重ねてきた。
どうしようか迷いながらも、俺の耳に手を当てて、ゴニョゴニョと呟いてくる。
なんとか聞き取れたその言葉に、俺は目を見開いた。
そして、再びなるの顔を覗き込む。
…それが、今、言ってほしい言葉?
…意外だな。
直接気持ちを伝えるようなものを選ぶかと思っていたんだが…。
なるがそぉっと上目使いで俺を見てくるのがわかった。
目が合うと、さらに恥ずかしそうにして手で顔を隠していた。
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