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そのキスは、私にとってものすごく大きな意味を持つんだってことに、悠哉は気づいてるかな?
唇を激しく重ねながら、私は心の中で呟いていた。
もしかしたら、二度と重ねることができなかったかもしれない悠哉の唇。
あのとき逃げ出していたら、もう一度一緒に過ごすことは叶わなかったかもしれない甘い時間。
そんなことを考えると、胸がいっぱいになる。
それらを噛み締めようと、私も負けずに唇を、舌を、自分から絡めていった。
悠哉は私の不安を解消しなきゃと思ってるみたいだけど。
大丈夫だよ。
『愛してる』の言葉を聞けるなんて、思ってなかったから。
すっごくうれしい。
その気持ちを聞かせてくれただけで、本当は充分なんだよ。
…でもね、これは悠哉にはナイショ。
いっぱい涙した分、今度は耳元で甘くささやいてもらうの。
いっぱいがんばった分、ご褒美をもらうの。
全てにおいて満たされたとき、教えてあげようと思ってるんだけど。
…これ、ちょっといじわるかな?
頭の後ろへ悠哉の手が回されると、より激しく唇が重なっていく。
それなのに、悠哉のもう片方の手はどこか優しく触れていた。
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