出会いの原点-1

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「へぇ、誕生日かぁ。…あれ?社長って今いくつ?」 それぞれ思いを口にすると、2人の視線が再び注がれてくる。 私は幸恵と大谷くんを交互に見つめた。 息を吸い込み、ゆっくり言葉と共に悩みを吐いていく。 「9月1日で、37歳になるんだ。それで、何をプレゼントしようかずっと考えてて…。私の誕生日のときすごく素敵な1日にしてくれたから、私も悠哉にそんな1日を過ごしてもらいたいなぁって思ってるんだけどさ」 「社長、37になんの!?見えなくない!?」 すぐに言葉を返してきた大谷くんに対し、幸恵はフムフムと頷いた。 「プレゼントねぇ…。う~ん、相手が社長じゃ、そりゃ悩むかもねぇ」 …やっぱり?幸恵でも悩やんじゃう? 「ええ!?悩む必要なんてないじゃん」 意外にも、大谷くんがすぐに自分の考えを述べてくる。 「なるちゃんの気持ちが込もっていれば、何だっていいんだって!物より気持ちだよ、気持ち!」 そしてニッコリ笑った。 …う~ん、それはそうなんだけど。 私がギュッと唇を噛み締めると、大谷くんの背中で再びバシッと大きな音が響く。 「痛っ!…ちょっと、幸ちゃん!?」
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