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「俺ね、なるちゃんに教えてもらったんだ。特別なときには、特別な言葉でって!」
やだ、やめてよ。
なんか恥ずかしいじゃん!
「あぁぁ、大谷くん!いいから!それ、言わなくていいから!」
「えぇ!?ちょっと、なる、止めないでよ。すっごい気になるじゃない。私にも教えて!」
「あぁ!ホントいいって!大したことじゃないんだって!」
私が何を言ってもお構い無しで、幸恵は大谷くんに迫っていた。
大谷くんは大谷くんで、染々した感じで語り始める始末。
その後、話の内容を理解した幸恵はニッコリだった。
少々興奮気味に「なる、よく言ってくれた!」の連発で。
しばらく騒ぎは収まることなく…。
もちろん、私の悩みが解決することもなかった。
もしかしたら、幸恵と大谷くんに相談したのが間違いだったかな?
そんな思いを胸に、午後の仕事を淡々とこなしていた。
特に予定が狂うこともなく、6時を回ったころ専務がエレベーターから降りてきた。
「相沢さんは、そろそろ上がる時間ですかね?」
「はい」
返事をすると、穏やかな表情で頷いた。
「おつかれさまです」
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