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私の後方からいきなり大きく響くその声に、身体をビクッとさせてしまった。
専務は屈めていた背筋を伸ばすと、にこやかに返し始める。
「今、部屋へ伺おうと思っていたところです」
私はそろぉっと、身体をひねらせ振り向いた。
そこには、片眉を上げ少々ご機嫌斜めであろう悠哉が立っている。
あれ!?ま、まずい!?
何か誤解させてしまった!?
あたふたしていると、悠哉はゆっくり足を運び私たちの前へ。
近くまでやってくると、私を見た後に視線を専務へ移した。
「何してた?」
う、うわぁ!
悠哉ってば、そんな睨みながら話さなくてもいいじゃない!?
「私は何もしていませんが?ただ、相沢さんと会話を楽しんでいただけですよ」
続いて、専務の言葉にハッとした。
ヤバイ!
もしかしたら専務、悠哉の誕生日のことに触れちゃうんじゃない?
私が悩んでるって、口にしてしまうかも!?
それはダメダメ!
出来れば誕生日のことは、まだ内密に!
私はそっと悠哉の後ろへ回り、誕生日には触れないよう、専務に身ぶり手振りして見せた。
チラッと視線を運んできた専務が、パチッと瞬きする。
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