973人が本棚に入れています
本棚に追加
あれよあれよと抵抗する間もなくて。
部屋を閉めると、すぐにそのドアへ背中を押し付けられた。
そして私を囲み、ニヤリと笑う。
顔を近づけ、瞳の中を覗き込んできた。
かと思えば視線は動き、今度は唇を見つめ始める。
すぐにでも噛みつこうとしているようなその眼差しに、私はいてもたってもいられず唇をギュッと噛み締めた。
すると視線は、再び私の瞳へ。
いたずらに笑うその表情が、私の胸を鷲掴みにする。
鼓動が高鳴り、目を合わせてなんかいられない。
悠哉ってば、私をどうしたいんですか?
このまま見つめてるだけですか?
しばらくして、息を吹き掛けてくるかのようにそっと囁いてきた。
「…何を考えてる?」
…うっ。
べ、別に…、何も考えていませんが。
黙ったまま視線を反らしていると、悠哉はさらに顔を近づけてきた。
…そんなに近づいたら、唇が重なってしまいますよ?
胸の中で呟く私。
もちろん、顔を熱くさせながら。
すると悠哉の手が私の唇に触れ、優しくなぞっていく。
かと思えば、次にその手は顎に触れた。
その瞬間、胸の中に過った思い。
こ、これは、口を開かせられる!?
キスされる!?
最初のコメントを投稿しよう!