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私はすぐにその場で身構え、キュッと目を閉じた。
「会長や黒田がいなくて、物足りないか?」
…あれ?
しないのかな?
目を開くと、ニヤリと笑うご満悦な微笑みが目の前に。
これはもしや、からかわれてる!?
私はムッと唇を尖らせて、ボソッと呟いた。
「いえいえ…、私は平気です」
別に、キスを期待してたわけじゃない。
ただ、顎に触れてくるその手の動きは、私にとって重要な仕草のひとつと言えるというか…。
流れを、連想してしまうというか…。
そんな考えを持ってしまう自分が、なんか恥ずかしくなってくる。
そしてチラッと上目使いで視線を送った。
私をからかって楽しんでいる表情が見れるに違いないって思ったんだけど。
それは、すぐに重なってきた。
もちろん、悠哉の手は私の顎を引かせ、口を開かせて。
熱帯びている、唇の柔らかい感触と、すぐに絡み付く舌。
ゆっくりと交わっては、滑らかにすべりあう。
それらの動きが、私の身体を刺激する。
身体の中を下から上にグッと押し上げてくるものがあると感じたところで、悠哉は静かに離れていった。
顔を上げると、まだそばには悠哉の唇が。
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