出会いの原点-2

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…あれ?と思ったときにはすでに遅し。 通路がガタンッと塞がれピンポーンと音が響いていた。 後ろに並ぶ人たちに迷惑をかけながら端に寄り、さらにバッグのなかをゴソゴソしていたっけ。 結局見つからずに、その日は切符を買ったんだったね。 なんとか電車に乗り込んだものの、時間に間に合うかどうか、かなり焦ってたなぁ。 そして大学までをさらに猛ダッシュ。 そのとき前方に見覚えのある後ろ姿を発見した途端、朝からのドタバタを忘れ去り、胸をときめかせたんだった。 当時は憧れの先輩だった涼太を見つけてはうれしくなって、すぐに声をかけようと近づいたんだけど、私よりも先に声をかける女性を見て、その場に凍りついたのを覚えてる。 そのとき初めて、涼太に彼女がいることを知ったんだった。 それが、みゆきさんだったんだよね。 「なんか、…思い出したらテンション下がってきちゃったかも…」 今となってはどうでもいいことですけど、当時の私にとってこれ以上のショックはないだろうっていうぐらい落ち込んでた。 そこからもさらに不運は続く。
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