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気づけば胸が大きく高鳴り出していた。
そこから徐々に熱くなっていく。
私は息を飲み込み、当時のことをもう一度一から思い出していった。
たしか、友達はキャアキャアはしゃいでいた。
「すっごくかっこよかったよね!」とか、「イケメンすぎるぅ!」って騒いでた。
舞台に立った男性は、どんな顔だったっけ?
もちろん目の前に映るのは、モヤッとした面影だけ。
それでもなんとか当時のことを思い出そうと、必死になって頭を働かせていった。
…たしか、黒髪じゃなかった?
…たしか、背が高くなかった?
友達が「低くていい声してるよね~」って…。
私は、ガタッと勢いよく椅子から立ち上がった。
「悠哉…?」
そう口にしたとたん、ザワッと鳥肌が立っていく。
思わず手を運び、口を押さえていた。
あれは、悠哉だ。
絶対に悠哉だよ。
悠哉だよ!
足は勢いよく社長室へと向かっていた。
目を大きくして、息を荒げて、夢中だった。
たどり着いた目の前のドアをノックする。
コン!コン!
「…誰だ?」
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