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その声は、さらに私の心を震わせていった。
この声を、学生のときにも聞いてただなんて…。
「あ、あの、…私です」
そう返事をしながら、なんとか息を整えようと試みる。
無理に等しいとわかっているのだけれど。
「なんだ?」
ギュッと手を握りしめ、続けた。
「今、少しだけ…、よろしいですか?」
そして、次の返事を待った。
ドアの向こうにいるであろう悠哉の姿を目の前に浮かべて。
「ああ、…入れ」
私は頷いた後、ドアノブを握りゆっくりドアを開けた。
「失礼します」
部屋の中へ入り、ドアを閉めて顔を上げると、悠哉はデスクの椅子に座っていた。
そのデスクに両肘を突いて、顔の前で軽く手を組み、そこへ口元を乗せては真っ直ぐな瞳でこちらを見つめている。
どこか真剣に見えるその表情に、さらに胸の中はドキドキしていった。
私も見つめていると、先に悠哉が口を開く。
「どうかしたか?」
ゴクンと喉を鳴らし、スゥッと息を吸ってはさっき自分が思い出したことを口にしていった。
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