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「あの、実は…、すごいことに気づいてしまって…」
そう言って、チラッと悠哉へ視線を投げる。
「…すごいこと?」
「は、はい!あの、実は…」
そしてさらに高鳴る胸に手を押さえた。
スッと息を吸い込んでは一気に告げていく。
「私、悠哉の講演を、学生のときに聞いてたんです!」
どうだ!と言わんばかりにニッコリ笑い、大きな声で打ち明けていた。
きっと悠哉も、これに関しては驚いた反応を見せてくれるはず。
きっと「何!?」って真っ先に言ってくるはず。
そう思っていたんだけれど…。
悠哉の表情は全く変わることがなかった。
…あれ?
驚かなかったの?
逆に私が驚かされてしまったと言ってもいいかもしれない。
口をパックリ開けて悠哉を見つめていた。
「…聞いていた?…俺の話を?」
ふいに聞き返され、ハッとする。
あ!そうか。実感がないだけなのかも。
それもそうだよ!何年も前のことだし、こんな偶然信じられないし。
私もこんなことがあるなんてって、ビックリしちゃったんだから。
悠哉にわかるようにと、もう一度説明し始めた。
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