1742人が本棚に入れています
本棚に追加
そう捉えた私は慌てて頷き、顔を上げた。
「はい!信じられないかもしれないけど、でも、本当に聞いてたんです!」
そして再びニッコリ笑ってみる。
これで伝わったかな?と思いながら、次の反応を待った。
…が、またもその思いは裏切られる。
悠哉は顔色を変えることなく、逆に私に首を傾げてきた。
「それは嘘だろ」
「…え!?」
まさかそう返されるなんて思わなかった。
嘘だろだなんて…。
そんなに信じてくれないのかと、私も次第にやけになっていく。
「本当ですってば!嘘なんてついてないです。悠哉の講演を、あの日ちゃんと聞いてたんです!」
少しムッとしながらそう言うと、なぜか悠哉はクスクス笑いだした。
え?何でそこで笑うんですか?
その笑いの意味が分からずに、私はキョトンとして悠哉を見つめ続けていた。
するとデスクから離れ、ゆっくりこちらに向かって歩いてくる。
言葉を続けながら。
「なる、嘘をついちゃいけない」
まだ言うか!?本当だって言ってるのに。
そう思いながら、怪訝な表情を隠さずにいた。
「お前は、本当に俺の話を聞いてたか?俺の顔を見て、目を見て、本当に、聞いてたか?」
最初のコメントを投稿しよう!