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落ち着いて呼吸をしていると、悠哉は私の元までやってきた。
私はゆっくり椅子から立ち上がり、一礼した。
そして顔を上げると、私の前で立ち止まりジイッと見つめてくる。
しばらく口を閉じたまま、私の瞳に真っ直ぐ視線を注いでいた。
その間があまりに長くて不思議に思い、自分から声をかけてみた。
「社長…?どうかしましたか?」
すると、一度瞬きして、首を横に振る。
「いや、なんでもない」
そう言って、私の前に一枚のメモ用紙を差し出してきた。
私が視線をそれに移して受けとると、悠哉が続けてくる。
「予定が入った。忘れずに、把握しておくように」
え!?予定!?
それを聞いて、おもわず私の胸の中でドクンッと大きな音が鳴った。
ま、まさか…。
9月1日に、予定が入ってしまったのでは!?
そんな思いが過り、慌ててそのメモ用紙を顔に近づけ確認してみる。
そこには、「10月12日 14時~△△△△大学にて講演」と記されていた。
その文字を何度か読み返し、私はすぐに胸を撫で下ろした。
なぁんだ、よかったぁ!まだずっと先の予定じゃん。
悠哉ってば驚かさないでよ。
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