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「ここの大学、私通ってたんです!すごい!悠哉、ここで講演なんてするんですか!?」
興奮気味に、目を大きくして聞いてみた。
悠哉もさぞ驚くことだろう、と思っていたんだけど…。
「…へぇ、そうだったのか」
とても落ち着いて返されたその声に、呆気にとられてしまった。
目をさらにパチパチさせて悠哉を見つめてみる。
あれ?驚かなかった?
「まぁ、そんなこともあるだろう。仕事っていうわけではないが、そこの教授と知り合いでな。頼まれて以来、何度か引き受けてるんだ。予定に忘れずに入れててくれ」
そして私からフッと視線を外していく。
そんな様子を見て、口を尖らせずにはいられなかった。
いや、予定はいれておきますけど、もう少し話に乗ってきてもいいところじゃないですか?
なんかあっさしりしすぎじゃないですか?
そんな思いはどうやら悠哉には伝わらないようで…。
「それじゃ、よろしく」
そう言って向きを変えると、社長室へと戻っていってしまった。
残された私はさらに口を尖らせ、カウンターの椅子に腰かけた。
「なんか、ちょっと冷たくない?」
そう呟いて、手帳を広げる。
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