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兄様のその笑みに、何の感情も抱かなかったと言えば勿論嘘になる
自分はと言えば彼の子供であり、弟子であり、奴隷でもあるのだから、同位の者がもう一人増えるなど御免被る話だ
ふと、彼の細い笑みに気が付いた
「満月はわかりやすい」
そんなに表情に出ていたのだろうか、それでも彼の大きな手に頬を撫でられては吽とも言えない
おいで、と、彼に隣を示されて腰を下ろす
優しく肩を抱かれて、浮足立つ
「満月は特別、」
僕の耳が可笑しくなければ、小さく囁いた彼の吐息はそう言っていた
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