物語の一番

6/7

36人が本棚に入れています
本棚に追加
/182ページ
その噂が、政宗の耳に入ったのは必然だった。 政宗が疱瘡を病んで死にかけた時、母は一度も見舞いには来なかった。 いや、正確には行かせて貰えなかったのである。 伊達家に、次男坊が誕生したのは何時か? それと、この話には接点がある。 「伊達家と最上家を繋ぐ橋と成る、その決意を持ってあの方は嫁いで来たのだ…。」 小次郎を無事に産まなければ… 完全な跡継ぎを産まなければ… 誰のために? 義姫の中に あるのは その義務感だけだったのかも知れない。 「おそのと言うその女、なにやら不吉な事を話しているので…。」 不吉な事を話しているので… 誰が斬ったのだろうか? 何処でその話を聞いたのだろうか? 「何故か思い出せぬのだ…。何故なんだろうな?」 真剣に話す。 政宗の話を必死に聞いているのは、
/182ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加