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「そりゃあ学校ではパンダのような扱いを受けたけれど、その子が喜んでくれたから良かったの。」
「それからも3人は仲が良かったわ。」
「でも、時間が経つに連れて何かが可笑しくなった。」
「あさは私に固執するようになった。」
何となく分かっていたけど、やっぱりこれは此奴らの話だった
「私と仲がいい子達が怪我をすることが多くなって
あさは本当の笑顔を見せることもなくなった。」
「何でそうなったかは分からなかったの、あの日までは」
「あの日?」
ぎゅう、とシーツを握りしめたオカマ野郎
「中学三年生の時、あさは翠君を階段から突き落とした。」
薄暗い視界の中で透明な滴が落ちたのが見えた
「翠君はとっても足が速くて、陸上部のエースだったの。
誰よりも走るのが好きで、将来の夢だって…」
「なのにっ…翠君の足はもう前のように動かなくなった。」
「お見舞いに行ったらね、あんなに無愛想で表情を表に出さなかった翠君が泣いてたの。悲しそうに悔しそうに…だから私」
ギシ
「鈴ちゃ…?」
抱きしめた背中は弱々しく震えていて、細かった
「御前のためなんかじゃねえ
大声で泣かれると寝れねえから…泣き止むまでこうしてやる。」
「…ありがとう。」
思わず熱くなった顔をオカマ野郎の肩にうずめて誤魔化した
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