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「あの野郎…。」
はっとして、今にも殴りに出て行きそうだった茜ちゃんを押える
…翠君は、プリンを見ただけで味が分かる領域にまで行ってしまったのかしら
形が歪だっただけで、味なんて分かりはしないのに
「仕方ないわね…じゃあ、翠君の代わりに私がいただきましょうか。」
「えっ、いやいや、死ぬんじゃないっすか?」
「え、死のプリン作ったの?
私が見ていない隙に、危ないモノ入れてたりするの?」
「そうじゃないっすけど…え。」
パク、
「あ、まずい。」
あら、失言
私は口を押えたけれど、既に茜ちゃんは悲しそうな顔をしていた
「師匠…。」
「ふふ、ごめんね?でも、とっても嬉しいわ。美味しいのより嬉しいの。」
茜ちゃんは首を傾げた
「私だけ食べるのもなんだし、茜ちゃんも食べて?実は私も作ってたのよ。」
コトン
冷蔵庫の奥の方に置いておいたプリンを、向かいの席に置いた
「今日は、お疲れ様でした。」
私が笑うと、茜ちゃんも難しい顔を解いてくしゃり、と顔を歪めて笑った
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