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「史君!隠れられる所探して!今は大丈夫だけどバイクで追われたらもう終わりだわ!」
「そんな急に言われても、見つからないもんは見つからないの!」
「おっ、いたぞ!!こっちだー!!」
「いやあー!!!」
「もう、ママ!あんま大声出しちゃ駄目だってば!」
人通りの少ない裏道を二人で走り抜けていく、常に追手が居て走るペースを遅くする事は出来なかった
苦しいけど、油断したら捕まっちゃうわ
ずっと走り続けている所為で、史君の息も荒い
「あ…ここって…。」
ふと、史君がぽつりと呟いたと思ったら
「な、何?」
ぐい、
無言で私の服の裾を掴んで、横の抜け道に走った
どこに行くの!?
史君に引っ張られるままに狭い道を走っていくと次第に道が明るくなる
私はちらり、と後ろを見てみる
2、3人程追っかけて来ている、これじゃあ隠れるに隠れられない
ピンチだわ
史君は私の服の裾を離すとおもむろに自分の財布を取り出した
え、まさかのお金で解決!?
私はすぐに止めようと思ったけれど、史君は財布を渡す様子は無く
片手に持って、全力で走っている
…何かあるのかしら
史君の謎の行動の連続に驚いている間に、表に出た
「早くこっち来て!」
急に明るくなった視界に目を薄めながら、史君の言う通りに走ると
目の前に、小さな建物
嘘…
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