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キイ…
鈴ちゃんが去ってから時間が経って、私は玄関の扉を開けてみる
さっき殴られた所はへこんでないみたい
真夜中、懐中電灯の光だけを頼りに静まった廊下を歩いて行こう、と思ったけれど
ギュム、
「…何か踏んだわね。」
前だけを見ていたので気づかなかったけれど、何かあるみたい
私は下に光を照らした、そして光にあったものは
…あらやだ、人だわ
その人はだらしなく足を伸ばして、目を瞑っていた
見たことない人、一年生の階に居るんだから一年生でしょうけど
私はしゃがみこむ、寮の扉に寄りかかって爆睡しているようだった
酒臭っ
ペチペチ、と頬を叩いてみても微動だにしない
完全に酔いつぶれてるわね…高校生でお酒なんて飲むから
「おいしょ…。」
私はその子を起き上がらせると、そのまま引きずった
もう、あんな所で寝てたら風邪引くわよ
風邪引いて損するのは自分、風邪を引かなくて得するのも自分なんだから
その子を運ぶ最中にも泥酔した子を見つけて、溜息を吐いた
お酒弱いなら止めておけばいいのに…
その日の夜中は泥酔した子達の介抱で過ぎて行った
…できれば、屋上にも行きたかったんだけど、残念
まどろむ意識の中、いびきの音だけが響いていた
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