1章 カコトミライ

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「そ、そりゃあ痛いけど…これ、あなたがやってくれたの?」 まあ、お世辞にも上手いとは言えないけれど。 「ああ。酷い怪我だったからな」 「ありがとう…」 彼は何も言わなかった。 「ってそんなことより、私聞きたいことがたくさんあるんだけど… 私は秘密基地…いや、神社にいたでしょ?何で今こんな所に…」 息が止まりそうになった。 横になっている私の顔を覗き込んで来たことで、彼を初めて視界に捉える。 漆黒の瞳に、同じ色の長い髪が風にさらさらと靡(なび)く。 着物─とはちょっと違うけど、下が動きやすそうな黒っぽい赤の和服がよく似合う。 私と同い年か少し上くらいかな。 男の人なのに、綺麗という言葉がぴったり。 ああ、何だかどうしようもなく苦しい。 でも無条件に引き寄せられている。 なぜか自分の感情のコントロールが利かなくなりそうになる。 ただ、この人を視界に捉えただけなのに。 それだけで胸が掻き乱されたようになるのは、なぜ?
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