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「え、ちょ、あの?!」
すたすたと歩く私の後を追ってくる。
「黒石さん!」
「なんだ」
「は?なんだじゃなくて返事は?!」
あぁ、しないといけないもんなのか。
少し体を捻って、そいつの目をまっすぐと見やる。
「断る」
話終わり。
もういいだろうと歩き出せば。
「・・・は?!ちょ、ちょいまって!」
パシッと腕をとられる。
「・・・」
「お試しでもいいし」
「離せ」
「友達からってのはどう?」
「離せ」
「お願いします!」
必死なそいつは私の声など聞こえてない様子で。
その口でよく好きだとか抜かせる。
「離せ」
バサリ
翼が出た瞬間。
そいつの手が弾かれたように離れていく。
……
やらかした。
まぁ、いいや。
翼をしまうと、もう一度歩き出す。
もうそいつは追いかけてこない。
それも当然か。
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