155人が本棚に入れています
本棚に追加
*****
物心ついた頃には既に
私は研究所で暮らしていた。
『うむ、この子の能力もか……』
『やはり堕天使は能力の制限が広いようですね』
『あぁ、見ろあの翼を
ーー・・・あそこまでの"黒"は珍しいぞ』
『堕天使の中での一級品ってところですかね』
『あぁ、違いない』
『家に帰せ』
家などないのに。
幼い頃はそう喚いていた。
『君の家はここだよ』
嘘だ。
本の中で"家"ってもっとあったかい場所だった。
こんなところではない。
『いいかい?
君の研究は家族の方も望んでいるんだ。
それにーー・・・』
ニヒルに歪められた唇から出る言葉は私の脳を犯していく。
『さ、続きだ
逃げたらーー・・・』
"天使"なんか、くそ食らえ
*****
最初のコメントを投稿しよう!