155人が本棚に入れています
本棚に追加
瞳にたたえた熱が冷めていく。
いいや。
帰ろ。
つか、濡れた。
雨まで避ける余裕なかった。
するとフッと。
私の上に影ができる。
「オニーサン、酷い言い方すんね。
この子がいなきゃ、あの女の子死んでたよ?」
「あ、いや」
「お礼は?
普通そこからじゃない?
オニーサン、社会的にも助けられたんだよ?
犯罪者にならずに済んだんだから」
ーー・・・誰だ?
さっきから真後ろから声がする。
しかも、私のカバーしてる?
奇特な人間もいるものだな。
傘までさしてくれている。
「こっち来て」
くいっと腕を引かれ、されるがまま。
フワフワとした茶髪についていく。
連れていかれたのは学食。
ひとまず、リュックを下ろすと髪を拭く。
最初のコメントを投稿しよう!