ウザい奴。その名も……

6/32
前へ
/254ページ
次へ
瞳にたたえた熱が冷めていく。 いいや。 帰ろ。 つか、濡れた。 雨まで避ける余裕なかった。 するとフッと。 私の上に影ができる。 「オニーサン、酷い言い方すんね。 この子がいなきゃ、あの女の子死んでたよ?」 「あ、いや」 「お礼は? 普通そこからじゃない? オニーサン、社会的にも助けられたんだよ? 犯罪者にならずに済んだんだから」 ーー・・・誰だ? さっきから真後ろから声がする。 しかも、私のカバーしてる? 奇特な人間もいるものだな。 傘までさしてくれている。 「こっち来て」 くいっと腕を引かれ、されるがまま。 フワフワとした茶髪についていく。 連れていかれたのは学食。 ひとまず、リュックを下ろすと髪を拭く。
/254ページ

最初のコメントを投稿しよう!

155人が本棚に入れています
本棚に追加