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クラクションが鳴らされた
バスが走ってきた とても止まれる距離ではない
少年はバスのクラクションに驚いたのかバスのほうを向いた
俺はどうにかしないとと思い 何も考えずに走り出した
バスはクラクションを鳴らし続け 少年はそれを見て立ったまま 急ブレーキでタイヤがこすれる音が鳴り響く
間に合え!!!
少年が身構えて 目を瞑り ぶつかる寸前 俺は少年を突き飛ばした
どこからそんな力が出てきたのだろうというくらいの強さで突き飛ばした
偶々少年が吹き飛ばした側には車が来ていない
俺は飛び込む形で突き飛ばしたため足が地面についていない
立て直すことはほぼ不可能だ
周りがスローモーションにした映像のように見え始める
周歩道には今にも悲鳴を上げそうな顔をしたおばさんたちが
バスの運転手は目を瞑(つむ)ってしまっている
ドスっ
鈍い音が閑静な住宅街に響く
どこからか悲鳴が響く
地面にたたきつけられ身体全体に激痛が走る
尋常じゃない痛みだ
すぐに目の前の地面がきれいな朱色に染まる
起明日戸は15年という短い人生に終止符を打たれた
(でも少年が助かってよかった)
血はどんどん広がっていく
俺の身体にはもう痛みはない 痛覚がいかれてしまったようだ
何かが口から出てこようとしている 胃液か何かだろうか?
俺は口から何かを吐きだした
血の鮮やかな朱色に染まった肉の塊
臓器だ
彼の死は迫っている
意識が朦朧(もうろう)としてすぐに目の前が真っ暗になった
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