比呂樹の章

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「今日は!今ね、叔父さんの家の前に居るの…比呂斗叔父さんの家ね? あ~あ、入れ違っちゃったね。 クリスマス会を開催するから、招待状を持って来たの」 「すまないね。ポストに入れておいてくれたら良いよ」 桜華に居場所を口にする必要は無い。 この子は“知ろうとすれば、知る事が出来る”能力を持っているのだ。 「うん、そうするね。…着メロ、変えちゃ駄目だよ?」 「うっ…」 し、しまったっ、ついつい、どうにかしたい、なんて考えていたから… 念押しされて電話を切られ、溜め息をつく俺を比呂斗は笑って見ていた。 「クク、“今時の女子高生と化した桜華”には振り回されてばかりですよ」 振り回されてばかりだ、と言いながら比呂斗は嬉しそうだ。 「…お前、実は、そうされたいキャラなのか?」 弟に笑われた事が、ついつい悔しくて大人気ない台詞を吐く。 「まさか。守護対象の女の子達限定ですよ」 …そうだな。お前は、亡き者達に託されたからな。あの子達を… 比呂斗の家を出て自宅に帰る道中、飛鳥さんと優凛華さんに出会った。 「あ、比呂樹兄さん、今日は!」 「桜華ちゃんに会いませんでしたか?」 何時も元気な飛鳥さんの後に、控え目な優凛華さんの言葉が続く。 優凛華さんを見る度、幼い頃の桜華の姿が重なり、この子が不憫でならない。
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