プロローグ

3/3
前へ
/7ページ
次へ
「お兄ちゃん。もう時間無いよ?」 寝間着姿の妹……梨沙にそう言われた。 因みに梨沙は中学二年生で、中学校は明日からスタートだ。 だから別にこの時間寝間着で居ようと下着だけで居ようとキグルミで居ようと梨沙の自由という訳だ。 「解ってるよ!」 俺は半ば自暴自棄になりポップな音楽と共に流れる星座占いを流し見しながら(今日俺は最下位で五分前行動を心掛けると恋愛運は急上昇! らしい)時間を確認する。 現在時刻、8時12分48秒02だ。 ――無駄に精密なのな。02って…… しかし、そんな些細な事はどうでもいい。 準備が整ったので荷物をいっさいがっさい担いで立ち上がる。 「行ってきます!」 俺は暇そうにリモコンを弄る梨沙と梨沙の朝ごはんの支度をしていた母さんに挨拶をしてから外に出る。 「「いってらっしゃーい」」 二人の返事を聞きつつドアを開ける。 俺も高校生活に不安な事は確かにある。沢山ある。 だけどそれと同じくらいの期待があった。 「よし、やってやる」 そう意気込み……俺は全力疾走した。 だって遅れそうだもの。 俺はアスファルトの地面を蹴るように走った。 プロローグ fin
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加