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気付けば、縁側にいた。
辺りは暗い。闇とは違う、遅い時間帯であるからこその暗さだ。
真っ暗な空からは雪が降り注いでいて、中庭は白く染まっていた。
中庭に花が多いのは、以前この奥の部屋に住んでいた人の好みだと聞いた事がある。
「…わたしを、みつけて」
あれはどういう意味だろう。
それに、あの女は何者なのか。
今のが夢なのだとしたら、自分に何を伝えたかったのか。
雪、暗闇、椿の花。
散った花びらは椿のものだった様な。
それと、微かにだが、椿の香りが辺りに充満していた様に思う。
だが、それとあの女が何の関係があるのか。
これ程までに長い夜は初めてだった。
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