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話は変わりますが、籠姫と呼ばれた娘には奇妙な力が宿っていたという話が御座います。
それは彼女が幼いながらに“鬼子”とも称されました所以で御座いまして、その力を人々は、彼女の父すら恐れたと言うのです。
その力と何か。
話すとすれば簡単なので御座います。
彼女は死人と話が出来たと申すのです。
死人と申しましょうか、故人となりました御方の魂、そう、人が霊と呼びます者の姿をその目に写し、声を聞く事が出来たらしいのです。
幼き少女は度々、人々が視えない者と語らっておりましたものですから、人々は気が狂ったのではないかと噂致しました。
そこに人がいるのだと言った彼女の言葉を信じたのは、長兄と世話役の娘だけだったと言います。
尤も、貴殿がこの話を信じますかどうかは、貴殿の御自由で御座いましょう。
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