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さて、と切り出して、忠彦は真剣な顔をした。
彼は虎吉と、その後ろに控える平之助を見た後、顎を引いて二人を見据えた。
「既に光則から話は聞いただろう。妹の、桐の護衛に付いて頂きたいのだ」
「それは、御厨家御当主としての依頼で御座いましょうか?それとも、貴方様御自身の依頼で御座いますか?」
「これはあの子の兄としての依頼だ。家の事は一切関係ない。引き受けて頂けるか?新堂殿」
元より、決断は先程したばかりである。
今更迷う事もなければ、決断を変えようとも思わない。
真っ直ぐに彼を見つめ返して、虎吉は唇の端を持ち上げた。
「心して、引き受けさせて頂きます」
頭を下げ、これでいいのだという満足感が自身の中に広がるのを感じていた。
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