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そう、これでいいのだ。
先がどうなろうが、心配しても何も変わらないのだから、己が今信じるままに進んでしまおう。
それに、自分の人生なんてものは、実家を飛び出した時に既に変わっていた。
これ以上変わってしまった所で何も困る事はない。
むしろ変わってしまえばいい。
目の前で安心した様に微笑む青年も、その後ろで読めない笑顔でいる男も、変わらず無表情を貫く少年だって、自分の人生を変える為の材料に過ぎない。
これから長いか短いかも分からない人生がどうなるか、実に楽しみだと笑う。
その笑みは少年の容姿には不似合いな程に不敵なものであったが、顔を伏せていた為に誰も見る事はなかった。
さあ、これが序章だ。
娘と少年は主人と従者となり、過去の記憶は未来の夢と変わる。
二人の出会いがと偶然であろうと必然であろうと、この先の未来が変わる事に間違いはないのだ。
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