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寒いなあ、と呟いて、彼は縁側で息を吐いた。 空気が白く変わり、そして終いには消えてなくなってしまう。 それを目で追い掛けて、再び息を吐いた。 見上げた空は灰色で、今にも雪が降り出しそうだ。 やはり二月は雪が多い。 昨夜もかなり降った様だが、積もる事はなかった様だ。 今夜は積もるだろうか。 そうしたら、明日は雪で遊ぶ子供達の姿が見られるかも知れない。 あの少女は雪は好きだろうか。 最近仕える事になった人の事を思い浮かべて、彼は下唇を突き出して考え込んだ。 悩むと唇を尖らせるのは彼の癖だ。 あの少女が雪如きにはしゃぐとも思えないが、自分はまだ彼女と知り合って間もない訳で、何かを断言出来る程ではない。 直接尋ねてみようか。 そう思って、また息を吐いた。
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