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実力は互角であるのだが、勝敗は横一線に並ぶ事はあっても、追い抜く事ができない。 それでも、この屋敷の者達からしてみれば凄い事の様だが。 この屋敷で剣技において蘭より勝る者はいない様で、その彼と互角である虎吉を色々な人が称賛した。 しかも当主が直々に称賛の言葉を述べたものだから、尚更である。 しかし、平之助にはまだまだとばかり言われる。 剣技の腕が優れていても、実戦で役に立たなければ意味がない、というのが彼の言い分だ。 実際、虎吉は戦いの場で相手を斬る事は滅多にない。 本人は斬ったと言うが、先日の様に、殺したりはしないのだ。 その様なものは斬った内に入らないと周りから言われても、彼は自分の戦い方を変えた事はない。 無益な殺しはしない。 それが師の教えだったから、ただそれを貫くだけだと彼は言う。
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