18/20

33人が本棚に入れています
本棚に追加
/497ページ
こうして見ていると、本当に彼女はどこにでもいそうな普通の少女だ。 良家の息女ではあるが、それ以外は無邪気でお転婆な少女であるだけで、他と何も違わない。 “鬼子”と称されるのだって、周りが勝手に押し付けた名ではないか。 彼女には、桐、という名前があるのだ。それは彼女だけの名前だ。 自分が護るのは“鬼子”などではない。 良家の息女でも、何でもない。 桐、という名前を持つ、一人の少女を護るのだ。 周りの者の言葉に惑わされるとは、自分は愚かだった。 彼女が何者だろうが構わない。 気にする事は何もないのだ。 意地悪なのですから、と拗ねた様子の桐を見て、虎吉はくすりと笑った。
/497ページ

最初のコメントを投稿しよう!

33人が本棚に入れています
本棚に追加