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人形の髪を指で弄りながら、桐は夢の事について尋ねた。
虎吉としては、彼女に夢の内容を話すのは二回目でもある為、可笑しな心境だ。
夢の中で夢の内容を話して、今は現実で夢の内容を話している。
どちらが本当なんだか。自分でもよく分からなくなって来る。
「最初は暗闇の中におりました。そして、突然雪が降り初めて、振り返ると、女が。そうかと思えば、しず殿に声を掛けられて、私は縁側にいて…その後、桐様と話していると、何故か唐突に襖が開いたのです。それを閉めようとして、何となく中庭の方を見ると、また女がいて…そうしたら、貴女が…」
「私が?」
「…貴女が、花びらになって、散って…消えてしまって…でも、気付いたら、中庭にいて、貴女が隣にいました」
その時に夢の内容を話して聞かせて、そうしたら、何故か隣にいたはずの彼女があの女に変わっていた。
女も花びらになって、散ってしまって、その時に。
「《わたしをみつけて》…そう言っていました」
「…《わたしをみつけて》、ですか」
桐は人形を腕に抱いて、小さく首を傾げた。
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