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笹塚side
「うぐぅっ! ~~!!」
地面に尻を強かにぶつけた痛みに顔を赤くさせ、声にならない声をあげる。
痛みが治まり、この原因を作った如月を殴り飛ばしてやろう、と勢いよく腕を振りかぶり後ろを振り向いた。
「うわっ?!」
ボフン、と何かに顔が埋まった。柔らかな何かを確認するために一歩下がる。
視界に映るのは茶色。
不意に顔をあげると大きな瞳と目があった。
「……く、クマ……?」
そう、笹塚が顔を埋めたのは大きな熊の胸毛だったのだ。
(……)
一瞬の思考。そして自らの身を守るために地面に向けて五体投地をした。
(死んだふり、死んだふり、死んだふり……!)
熊に死んだふりは効きはしないのだが、断片的な知識しか持たない笹塚はそれが最適な行動だと判断したのだ。
そんな笹塚を余所に熊は鼻を近付け、ヒクヒクとさせる。その後、笹塚をひょいと持ち上げ、見事な二足歩行で森を歩き出す。
勿論、死んだふりをしていれば熊に襲われないと考えていた笹塚は大パニックである。
(何で!? ウチが何をしたっつーんだよ? てか、何処に連れてかれんだよ?!)
そして、段々と余裕が無くなってきた頃に、一つの結論を出した。
(絶対に生き残って、あの野郎をぶっ潰す!!)
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