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いつもの様に終業のベルの音を聞きながら帰りの準備を済ませ、担任の先生の話を右から左へ受け流してHRが終わると直ぐに帰路に着く。
「ふう……」
一人で深く息を吐きながら家に向かって歩いていく。
あ、一人でと言っても別にボッチって訳じゃなくて、今日は誰も一緒に帰る人が居なかっただけだよ。
とか考えながら歩いて居ると突然、声を掛けられた。
「あっ! 結城裕樹くん」
「……如月」
僕が一番嫌いなフルネーム呼びをしてきたのは、同じクラスの如月 幸人(キサラギユキト)だった。
綺麗に整い、筋の通った目鼻立ちにさらさらした金髪……所謂イケメン。この男を四つの漢字で表すならば、眉目秀麗、才色兼備、等が妥当だろう。
そのため、学校の女子の殆どはこの男に惚れている。何時も周りに何人かの女子を侍らしている。しかし、この男はそんな女子の好意に全く気が付かない程の鈍感。
もうあれだね、死ねばいいのに。
うん? なんか態度が辛辣だって? 仕方ないよ、コイツのことあんまり好きじゃないし、それにフルネームで名前を呼んできたからね。
いやね、別に名前に不満は無いよ? 不満は。
でもね、流石に名字も名前も語感が一緒ってのはどうなのかと。ゆうき ゆうき、小学生の頃はプリントに名前を書くと大体バカにされたものだよ。
変だな……ってさ。
子供ながらにいたく傷付いた。
まあ、そんなこともありフルネームで呼ばれるのは嫌いなのだ。
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