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「おい、用が無ぇなら帰るぞ」
頭をわしわしと掻きながら不満を述べたのは、如月の後ろに居た女の子。
同じくクラスメートの笹塚 桜(ササヅカ サクラ)。
傷みを知らないとばかりに艶を放つ見事な黒髪。大きな瞳に小鼻、薄ピンクの唇。バランスの取れたスタイル。……これで口が悪くなく、眉間に皺さえ寄せてなければ完璧な大和撫子なのに。
「あ、ごっ、ごめんね、友達が居たからつい」
誰が、いつ、お前なんかと友達になったんだよ。と、その言葉に反応して此方を見た笹塚は此方にやって来た。
「……悪ぃな裕樹。面倒くさいのに巻き込んでよ」
実は笹塚とは仲が良い。中学校の頃、席が隣で何となく仲良くなっていた。
「帰宅デート?」
「ちっげぇよ! なんでこんなカスと!」
「冗談だよ」
こうして冗談を言えるくらいには仲が良い。
後、今の反応で分かるとおり笹塚は如月を嫌っている。
理由は如月にストーカー紛いに付きまとわれて居るから。
しかし周りは笹塚が如月に付きまとって居る、と思っている為、女子にはライバル視され、男子には諦められ、友人が出来ないらしい。
「ちっ……帰り道にまで現れやがるなんて……」
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